大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・13

いよいよ「菅おろし」が始まりそうです

大震災が起こった当日の午前中までは、菅さんは外国人献金問題で追いつめられていて汲々としていましたが、大震災と原発事故の発生により政局どころではなく、被災者の救出や原発への対応をしなければならなく、政治的にはひとまず休戦状態になり、政府はそれらの対応にかかりっきりで、与野党の議員は被災地へ独自に入ったり、支援物資を運ぶなどしていましたので、政局はまったく動かない状況が続いていました

これだけの緊急事態ですので、政局どころではありませんので当たり前のことですが、震災発生より2ヶ月が経過する頃になり、いよいよ政局どころとなってきた感じです

マスコミも世間も、最初の頃は「このような国家の非常時に、与野党で対決をしていたり、政権党内がまとまらないのはおかしい」という論調ではありましたが、1ヶ月を過ぎる頃から、だんだんおかしくなってきて「このまま菅政権にまかしておいて大丈夫なのか」というような感じになってきてしまいました

この流れは、誰かが意図的に仕組んだとも思えず、自然発生的に生まれてきたようで、ジャーナリストの多くも「菅さんにまかせる事は良くない」などと発言するようになってきました

そのうち、自民・公明までもが、菅政権とは組めないとまで言い出す始末で、本来ならば、与野党一丸となってこの国難に当たらなければならない時期なのにまとまることはありませんでした

政権党内においても、相変わらず小沢派を外して震災復興や原発対応をしているわけですから、野党と組むどころから政権党内も一つになっていませんし、支持率も30%前後ですから世間からも支持されていません。さすがに、このような政権と組む政党はないのでしょう

ご承知のとおり、阪神大震災の時は村山政権でした。その時の野党は、多少の攻撃はしたものの、被災者の救助や復興については、政権に協力していましたので、現在とは雲泥の差と言ってもいいでしょう

自民党も早々と「阪神の事に携わった議員もたくさんいるし、中越地震の時に指揮を揮った旧山古志村長の長島議員もいるので、できる限りの協力を行う」と表明してはいたものの、菅さんは無視して、自分達だけでやり遂げようとしていました

本来ならば、大震災も原発も東北で起こっていることですので、被災者の救援などはそれに当たった経験のある長島さんなどの意見を聞く事も必要だろうし、復興に当たっては阪神中越の例がありますので、それに携わった議員や東北出身の議員の意見を聞けるようなシステムが大事なのではと思っているのですが、現在までのところ、そのようになりそうな気配は微塵もありません

特に、小沢さんをはじめとする東北出身の小沢派議員は、政権の中では外されている状態ですので、当人達からすれば、頭にくるのは当然でしょう。自分達の地元で、このような大災害が起きてしまったのに、それに対する発言権がほとんど無いような状況では、情けなく思うのは当然で、これでは何のために代議士になったのかと自問自答しても不思議ではありません

このような事は、当人だけでなく誰しも思っている事なのではないでしょうか?

なぜ、菅さんがこの事態になっても小沢派を遠ざけるのでしょうか?・・・・今回の地震は、小沢派を取り込んだり、あるいは和解する機会だとは思うのですが、まったくそのそぶりさえありませんでしたから、そのような考えは毛頭も無く、どちらかというと働かせる機会を奪う事で、小沢抜きでも俺は出来る・・・事をアピールしたいように感じました

野党もそれぞれの考えは微妙に違い、今の政権と組んで良い・菅さん以外ならOK・菅さんを外しても小沢さんとは組みたくない・・・・・などです。菅支持グループ・小沢支持グループ、それと野党が三すくみみたいな感じになっているのが政界の状況ではないのでしょうか

また、現在の民主党は、加算を支持するグループ・小沢さんを支持するグループ・中間派と大きく3つにくくられていて、菅さん・小沢さんを支持するグループは、当たり前ですが、それぞれをそのまま支持しています。しかし、ここにきて中間派も菅政権を変えた方が良いのでは・・・・と考え始めたようで、菅政権打倒へと流れがでてきたような感じがします

もちろん、反菅・非小沢を目指す動きも出てきたような感じで、ここ数ヶ月は政局から目が離せない状況に突入してきたように思っています

この時期に政治家は何をやっているのかとの反発は当然出てきます。しかし、小沢さんは腹を決めたようで、打倒菅政権を表明しました。危機感を大きく持った菅さんは野党案を丸飲みするので、連立政権を組みたいとのシグナルを発しましたし、亀井さんは「小沢さんを座敷牢から出して使え」と言ったり、西岡参議院議長は「急流に流されている馬を変えろ」とか、鳩山さんは「菅さんでは駄目。小沢さんは覚悟を持った政治家。その覚悟の素晴らしさにひかれるものがある」との発言をしたり、犬猿と言われていた小沢さんと渡部さんが和解をしたり、原口さんも「トップは替わった方がいい」等々、いよいよ菅政権打倒への流れが加速してきた感じを受けます

小沢さんは民主党を潰したくないと思っているはずですから、恐らく、表だって菅政権を打倒するような動きはしないだろうと思われていました。小沢さんの理想とする「政権交代可能な2大政党制による民主主義政治」を行うための土壌としては、自民党民主党があり、現在の両党では考え方の幅が広すぎるので、もう2〜3回ガラガラポンをすれば生粋の2政党ができるくらいに思っていたはずです

恐らく、党首になり大きな議論を巻き起こし考えの違うような人を少しずつ外したりしながら、緩やかに「保守と革新」(この言葉は適切ではないと思いますが)を目指すだろうと思っていました。ところが、刑事被告人になってしまいましたし、党員資格停止性分まで受けてしまいましたので、実際は八方塞がりの状況に陥っていたのではないかと思われます

党員資格停止・・・では、地元の代表にすらなれませんし、党内で役職に就く事もできません。さりとて、離党して新党を作るとなれば平時ではついてくる人も少なく、動くに動きようもない状況で、小沢さんが目指す2大政党制を実現するためには、代弁者を建てて裏から操るくらいしかできません。でも、このような事は反発が強い事は本人もわかっていますので、最終的には、自分がやらねばと思っていたはずですが、座敷牢に追いやられてしまいにっちもさっちもいかなくて、下手をすればこのままジエンドになってしまう可能性すらありました

民主党を離党し新党を立ち上げ2大政党制を目指すのには、平時では賛同者もそれほどいないので、この道は現実的に閉ざされているに等しく、さりとて、このまま民主党に残っても座敷牢生活です。ひょっとしたら、このまま諦めてもおかしくない状況でした。仮に震災がなく、外国人献金問題などで菅さんが追いつめられて辞めたとしても、党員資格停止状態では浮かんでくる可能性は少なかったでしょう

そこへ大震災と津波原発放射能漏れという国難が日本を襲い、その対応にアップアップするどころか、マスメディアにも世間からも、対応が良くないというレッテルを押されてしまいましたので、ここは小沢さんに大チャンスが訪れてきたのではないでしょうか

ここで菅政権を倒して・・・・・までは誰にでもわかるのですが、問題はその次、あるいはまたその次の動きです

小沢さんは党員資格停止になってまいすので、当然本人は代表にも首相になる事は出来ません。そこで、誰を総理にするのか? 民主党だけで政権を組むのか? それとも連立政権にするのか? また、連立を組んだ場合、その後は再編行動を起こすのか?

いずれにせよ、これから大きな動きが出てくるのでしょうが、日本や国民のためになる政権の誕生を望んでいます