大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・9

少し前のエントリーでは、広いエリアに渡って高濃度で汚染が広がっているだろうということを書きました

このようなことは素人の僕でも思うことですから、政府はとっくに承知しているはずです。国会で「半径などという一律的な距離で避難エリアを決めずに汚染濃度で決めるべき」と追求されても、のらりくらりとかわすだけで、あくまでも当初の方針である半径にこだわっています

まあ、前回の図をみれば明らかなように、チェルノブイリと同じような区分で「強制退去エリア」・「強制移住エリア」・「希望者は移住を認めるエリア」・「放射能管理が必要なエリア」などと汚染濃度で区分してしまいますと、パニックになることは間違いなく、「強制移住エリア」以上に区分された場所、つまり、福島の場合、それよりも汚染濃度が高いエリアは図中の『<300,000』エリアを除いたもの+αということになりますので、予想される避難民は10数万くらいにはなりそうですし、ひょっとすると、30数万になるかもしれません

これだけの区域を強制移住エリアにしていしてしまいますと、相当の混乱が出るでしょうし、パニックになることも想像されます。もちろん、10数万人や30数万人を避難させるとしても、その受け入れ先を確保することができるのかという問題も生じますし、ある程度分散させるにしても、受け入れ先の市町村の準備もあるでしょうし、そう簡単にいくとは思えません

そのようなことがあるから、政府は汚染濃度でなく、「半径3km以内」「半径3km〜20km」「半径20km〜30km」という距離区分で分けたのだと想像ができます
そして、それだけ汚染をされているのにもかかわらず、汚染の基準値をあげてみたり、シーベルトとベクレルをうまく使い分けて、一般の人にはわかりにくいようにしたりとか、政府はいかにも危険は薄いように取り繕っているようにみえてしまいます

菅さんの会見では、「年明けになれば、いつ頃帰ることができるかはっきりするだろう」と、希望を持った発言がなされるなど、本当に大丈夫なのかと思ってしまうこともありましたが、これらも、パニック防止というか、少しでも希望のある言葉を発しなければならない立場のための発言なのか定かではありませんが、パニックを防止するためだけに危険が想定されるような地域に人を住まわせておくのも何だかなぁ・・・と思ってしまいます

チェルノブイリの対応と今回の福島の対応のどちらが正しいのでしょうか? 

安全ということを考えれば、チェルノブイリの方が安全性は高いことは誰しもわかるでしょう。それともチェルノブイリの方が安全性を高くみていただけなのでしょうか?
少し前に、枝野さんや岡田さんが福島を訪ねた時もそうでしたが、地元の人は平服でマスクもしていないのに、政府関係者は防護服に防護マスクという違和感のある服装でした。地元の人やマスコミは「大袈裟な・・・」と思ったのでしょうが、承知している政府関係者はそのような服装をせざるをえないと思ったのでしょうか?

誰にもわからないのかもしれませんが、10数年後に放射能による健康被害が出ても、どうせ「原発放射能漏れとの因果関係を立証することはできない」で片づけられるだろうことでしょう。最後は自己責任ということになってしまうのは明白ですので、被災地周辺では相当の注意が必要になるでしょう