大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・7

今回の大震災においては、震災による被害と津波による被害のダブルパンチで、ライフラインにも広範囲で大きな被害が生じたのも大きな特徴ではなかったでしょうか

特に電力関係は広範囲な被害になってしまい、原発の冷却機能が無くなってしまったり、発電や変電・送電設備に大きな被害が生じてしまい、被災地だけでなく広範囲に大きな影響を及ぼしてしまいました

特に東京近郊では「帰宅避難民」などという言葉も誕生するくらい、電車が止まった影響により帰宅することが困難な人が続出し、帰宅するのができない人のために、さまざまな施設が急遽開放されて避難所になるなどして大混乱を招いてしまいました
安全に通行するための点検なども行わなければならず、地震当日だけでなく翌日も通常ダイヤに戻ることはありませんでしたし、すぐさま計画停電に伴う間引き運転になってしまい、東京近郊の鉄道ダイヤは数日間混乱してしまいました
また、都の上水道放射線物質が確認された時も、乳幼児に対して飲料水を配ることがされるなどもしましたし、千葉県や内陸部の群馬県などでは地震に伴う液状化現象が起こり、上下水道に大きな影響が出てしまいました

普通の災害であれば建造物などに直接的に被害が生じるのが通常ですが、今回は地震津波による直接的な建造物被害だけでなく、大事な都市機能であるライフラインにも多くの被害がでてしまったため、東北からはるかに離れている東京圏でも間接的に被害が及ぶことになってしまいました

東北の地で起こった地震で都市機能が麻痺してしまうくらいですから、そろそろくるのではないかと言われている東京湾北部を震源とする関東地震が起きれば、東京の都市機能どころか政治・経済・金融などの諸機能がストップしてしまうということが明らかになってしまいました

建物や建造物については高度な耐震化が行われるようになり、阪神大震災の時のようにビルや高速などの建造物が崩壊することはないと思われますが、電気・上下水道・ガスなどのライフラインは相当寸断されてしまうでしょうし、建物は平気であっても、電車は動きませんし、ライフラインも寸断されてしまうようでしたら、基本的な生活すら行うことも難しいと思われます

一時期、関東地震に備えて遷都や分都などが議論されましたが、いつのまにか下火になってしまいましたが、東北の復興が一段落してくれば、再び遷都や分都の議論が始まるのではないでしょうか
前述したとおり、関東地震が起きればもの凄い数の避難者がでるのは間違いありません。今回の大震災と原発では最大15万人以上が避難生活をしいられましたが、関東地震ではその桁が一つくらい増えるのは間違いなく、最大で700万人、震災1ヶ月後でも410万人と想定されています

地震による被害については、長周期地震動による高層ビルの壊滅的な被害や液状化被害なども起こるだろうと想定されており、完全復旧するのには、長い年月が必要になるのは火を見るよりも明らかです

もちろん、建物等やライフラインの被害だけでなく、株価や為替暴落などによる経済的な損失も想定されており、それらは112兆円にものぼるそうです

これらは、あくまでも様々なシミュレーションの元想定されている被害予測ですが、今回の東北大震災でも明らかになりましたが、想定内におさまる保証などはまったくありません

例えば、宮城県では今回のような大津波も想定した連動型大地震の予測も行っていて、その予測結果では、死者は164・負傷者数6,170人・要救出者663人・長期避難者数16,669人という結果でしたが、実際の被害者数は桁が2桁も違っている状況でした

ですので、関東地震についても実際のところは起こってみないことにはわからないのが本当のところで、想定されている被害の半分にも満たない場合もあるでしょうし、数倍に膨らんでしまう場合もあるかもしれません

ちなみに、最近話題になっている地震の発生確率ですが

宮城県沖地震あるいは連動型大地震の発生確率は次のとおりでした(2010年1月1日から)


  10年以内の発生確率(2019年:平成31年末) 70%程度
  20年以内の発生確率(2029年:平成41年末) 90%程度
  30年以内の発生確率(2039年:平成51年末) 99%

今回のように、東北沿岸がすべて連動するような巨大地震は、起こることすら推測されていませんでした

ここのところ話題に上る東海地震の発生確率は 30年以内の発生確率は87%  
ちなみに、原発のある福島沖では、M7.4の地震が予想され、50年以内の発生確率は10%以下
関東地震は、M7程度のもので、30年以内の発生確率は70%程度と推定されています


東京や近郊の都市機能については、昔から脆弱さが指摘をされていましたが、今回の混乱をみますと、皆さんの想像以上ではなかったのでしょうか

今まで、地震対策としては『建物や構造物の耐震機能の強化』が中心に行われてきました。ライフラインの被害については想定されてはいても費用対効果の関係などにより、なかなか強化されることはありませんでしたが、今回の地震においては、東京で震度5程度でも、相当の混乱を生んでしまいましたので、震度7震度6強などの強いゆれが想定されている関東地震では、ライフラインに相当の被害が生じそうな感じがします

ライフラインを担当している行政や企業等においては、これらのことなど想定しての対策をとっているはずでしょうが、実際のところはおきてみないとわからないでしょう

このようなある意味危険な場所に日本の政治・経済・金融などが集中しているということは、どう考えても危機管理上良いことではありませんし、相当の被害が生じることがわかっているのに、何の手も打たないというのであれば、まさに無策であったとの誹りを受けても仕方がないところでしょう。やはり、遷都なり分都を真剣に議論し、早急に手を打つことが必要なのかもしれません

もちろん、これは行政のみならず、民間企業や個人レベルでも考えなければならないことだと思っていますが、最初に国や都が動かなければ民間レベルでは動きようがないのかもしれませんが、個人レベルであればすぐにでも動いた方が良さそうに考えています

仮に予想どおり700万人の人が避難民になってしまった場合ですが、いったいどこでそれらの人を受け入れる事ができるのでしょうか? 関東地震が起きれば、隣県である埼玉・千葉・神奈川などにも相当の被害出るでしょうし、相当の避難民が出るだろうということは想像ができます。東京都内で数100万人を受け入れることは難しいでしょうし、数日くらいであれば可能かもしれませんが、数週間とか数ヶ月になるようであれば、とても無理なのはいうまでもなく、途方もない混乱を生むことは間違いありません

少し離れて、栃木・群馬・福島・山梨へ分散しようにも、受け入れる場所や輸送体制・食糧の確保など、事前に受けいれることを想定し事前に準備しておきませんと、受け入れることは難しいでしょう
被害を軽減させるための免震や減震措置は進んでいるものの、震災1ヶ月後でも410万人にのぼると予想されている避難民を受け入れる準備を事前に行うことなどは不可能で、 大混乱になることはだけ間違いありません  地震の被害よりも想定外の事象がたくさんでてくるでしょう

だいたいにおいて、東京の隣県である山梨は人口が80数万ですので、山梨県民の約5倍の人が避難生活を送る事を想像することすらできません。山梨県内の小中高は344校ありますが、体育館で寝泊りするとしても、せいぜい300人収容できるかどうかで、約10万人しか収容することはできません。もちろん、他にも公民館やらなにやらありますが、せいぜい20万人受け入れることができるかどうかでしょう。これは、あくまでもスペースで考えただけのもので、食糧が満足に流通されるとは思えませんし、県内も被災してしまうと、10万人すら受け入れることはできないでしょう

いったい410万人は、どこに非難するのでしょうか?


平時であれば議論にものぼらないことだと思いますが、真剣に考えたいところです