大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・6

今回の地震は、地震だけにとどまらず、それ伴う大津波放射能漏れ、なかなかおさまらない予震、また、電力不足による計画停電など、日本国民のほとんどが想像もしなかったことが重なってしまい、表面的にはそれほどでもなかったのですが、東日本は全域がパニックに近い心理状況になってしまいました

心理的にはパニックになってはいましたが、実際は一部で買い占めなどの行為はあったものの、ほとんどの国民は冷静に対応ができていたのではないかと思っています。そのようななか、パニックが続いていたのは政府と東電で、これはこれで仕方がないところでしょう

ここまでの間、特に広範囲に影響を与えたのは、何といっても計画停電でした

輪番制により計画的に停電区域を交替していく方法で、一部停電にならない地域があったり、事業者などはわずか3時間電気を止めるだけでも再開するのに10時間近く掛かってしまうような工場があったりするなどし、もう少し違う方法ができないのかと不満もでたようですが、大規模停電が起こることなく第1回目は無事に終わりました

原発を再び動かす為に仕組まれたものではないかとの声もありましたが、実際はどうなんでしょうね

それよりも、最大の関心はやはり原発からの放射能漏れで、いつかは起こるかもしれないと思っていても、まあ日本の原発チェルノブイリなどと違って大丈夫だろうと、ほとんどの日本人は根拠のない自信みたいなものを持っていたように思います

今まで、国内でもいくつかの原発事故があり死亡者も出てはいましたが、事故による被爆者や死者はすべて原発の中で出たもので、外部にはほとんど影響はなかったのですが、今回の事故はほとんどの人が想像すらしていなかったことで、日本の原発は何となく安全だろうと思っていたことは神話でしかなかったことを国民は思い知らされたようです

民主党政権も今後は原発を10数基程度増設し、クリーンエネルギーに転換を図っていくような計画を持っていたようですが、今度の事故ですべてが吹っ飛んだだけでなく、既存の原発の安全性も再点検し直したり、浜岡原発などは停止要請がでるなど、今後のエネルギー政策に大きな影響を及ぼしていくことが想像されます

専門家の話によりますと、浜岡、伊方、美浜、敦賀、柏崎などは活断層の上に建設されているため危険だそうで、特に浜岡は東海地震震源地の中心部にあたることが推定されており、津波対策を十分とってから再開するよう政府から要請されたようです

中部電力も、おめおめと中止にしてしまいますと、赤字に転換してしまうことが予想され、そうなりますと株主から訴訟されるかもしれないと苦慮しているようです

国民的な議論が起こっているわけではありませんが、今まで原発に対してそれほど無関心で考えていなかった誰しもが、今回の事故により、エネルギー(電力)問題・原発の問題などを大きく提起したことでしょう

一般国民が放射能漏れにより人体や人間生活に影響を及ぼすことなど、遠いチェルノブイリで起こった問題でしかないと思われていましたが、まさか、直撃されるとは誰しも想像していませんでしたし、これからどうなってしまうのかわからないということが、暗い影を落としてしまいましたし、今もなおその危険な状態にあることは間違いありません

他国の出来事とタカを括っていたのが、国内で発生してしまっただけでなく、いまだに収束の見通しが立っていないことにいらだちすら感じているように思われ、原発政策やエネルギー政策が、これから大転換していくことと思われますが、いままで無関心であった国民の注目を、大きく集めていくことになるだろうと思われます

今までは、一部の原発推進派と一部の反対派により原発のことやエネルギー政策のことが議論されていたように思いますが、今度は一般国民の注目度が高くなりそうです

放射能漏れによるこれほどの大事故は、世界中でもチェルノブイリに次ぐもので、農産物や海産物の放射能汚染がこれからどうなっていくのか? 放射能による土壌の汚染はどうなってしまうのか? 
今まで、政府や原発関係者が想定すらしなかったさまざまな汚染が起こりました。汚染された農海産物は食べなければそれで済みますが、汚染された土壌は処理することが可能で、処理できれば住むことができるのか? そもそも処理することが可能なのか?

興味は尽きません
現在は福島の一部だけに限られた問題ですが、いつどこで同じことが起きてもおかしくはない・・・今までの他人事のように思っていたことが、急に身近に感じられたことでしょう