大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・4

今回の大震災による被害で、世界中から注目されているのは大津波の被害と原発放射能漏れです

津波については自然災害で、ある程度は仕方がないこととされていますが、それよりも大きな問題なのはやはり放射能漏れ問題で、何が原因でこのような事故が起きてしまったのか? 今回のような事故の場合、どのような方法(手段)で終息させる事が可能なのか? 実際に放射能に汚染された地域をどのようにして復興するのか? 今後の電力供給の方法をまだ原発に依存しなければならないのか? 等々が注目を浴びています

「絶対安全」と政府も電力会社も言い続けてきた原発ですが、少し前の国会でも「非常用電源を失ってしまったら危険ではないのか?」との質問に対しても、「そのようなことはあり得なく安全だ」と主張していた政府ですが、まさに、そのとおりになってしまい、しかもとてつもない放射能漏れ事故まで引き起こしてしまい、あまつさえ、その暴走を止めるのに四苦八苦している状況では、安全神話どころか、他にある危険そうな原発は全部停止しろということにならざるを得ないでしょう

被災当初の発表は、女川・福島第1・福島第2とも地震発生直後に安全停止したと発表されました。ところが実際は、制御が効かない状態になっていたのはご承知のとおりです

専門的な事は良くわからないのですが、世界中から原発への対応を批判されているのは、やはりそれなりの事があるのは間違いなく、初動対応の遅れ、ベントの遅れ、冷却の遅れ等々が被害を拡大したといわれています

核先進国であフランスやアメリカから協力の申し出があったにもかかわらず断ったようなので、なんとか自力で解決しようと思ったようですが、結局は両国の協力を得なければならなくなってしまったようです

また、対応の遅れだけでなく、広範囲に放射の漏れが起こっており、このような事を想定して放射の拡散シュミレーションソフトを開発し、その情報を国や地方自治体が公表する事になっているのにもかかわらず、汚染状況についてはほとんど公表しませんでした。そのことを国会で追及されたらやっとわずか出しただけでした

また、ホウレンソウやカキ菜、源乳の放射能汚染がされた時も、この程度の汚染なら「直ちに健康被害を与える数値ではない」とはぐらかすような発表だけで、その後に、茨城の農産物や東京都の上水道でも汚染されているのがわかっても、発表内容は同様でした

「直ちに健康被害はない」ということは、摂取し続ければ危ないということは誰にもわかりますし、外部被爆と内部被爆の違いを混同されては、とても信用のおけるものではありません

海に汚染水を放出した時もそうですが、汚染濃度の低いものを海に放出したと政府は言っているのに、海でとれたコウナゴという魚からは高濃度の汚染が確認されています。低濃度の汚染水を海に放出すれば、それは膨大な海水で攪拌されて一見すると大丈夫そうにも思うのですが、実際は高濃度に汚染されていた・・・ということは、誰が考えても高濃度の汚染水を放出したようにしか思えませんし、そう考えるのが普通だと思います

本日は、高濃度の放射性物質を含む汚染水が海に流出した場所の近くの海底の土から、通常の約3万8000倍の濃度の放射性セシウムを検出したと東電から発表されました。この数値がどの程度のものなのかはわかりませんが、どう考えても低濃度に汚染された水を海水に放出した結果ではなさそうに思えます

政府・保安院・東電の発表内容が違っていたこともしばしばありましたし、極めつけは、先日、政府の内閣官房参与を辞任した小佐古東京大学教授の件で、ノーベル賞を受賞したアメリカの医師団が、「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判しているのにもかかわらず、見解の相違みたいな感じで、意見を受け付けないのも不思議でしたし、素人の僕でさえ、子供や乳幼児の被爆は大丈夫なのかと疑ってしまいます

母親の母乳から放射線物質が確認されたというのも、相当なインパクトがありました。母乳から確認されたということは、その母親が被曝しており、放射線が体内に蓄積されているのでしょう。政府は「母乳から確認された量は少なく、ミルクを作っても良いという基準値よりは低いため、ただちに子供への健康被害はない」みたいな対応でした

少なくとも、体内被曝についてはどの程度の量でような影響を及ぼすのか誰もわかっていないのが現状なので、ある程度低い数値にしなければならないと思いますし、ましてや母乳となると、成人ではなく乳児ですから相当注意を払わなければなりません

母親の母乳から検出されるということは、当たり前のことですが、その母親は体内被曝しているのは確実ということで、体内被曝の原因が空気中にある放射線を吸い込んでしまったものなのか、食品から摂取したものなのかも不明で、空気中から摂取したということになれば、乳児も母乳以外にも吸い込んでいるはずで、そのあたりの安全性などはまったく評価されずに、ただ「その程度の量であれば問題ない」では、国民の生命を守るべき責任を持った立場の人と思えない発言でしか思えません

これらの事から考えられることは、政府・保安院・東電は虚偽のデータを公表しているのではないかということですが、さすがに、この一大事にそのようなことがあるとは思えませんし、国民に嘘をつくほどの度胸があるとは思えませんので、 <嘘をついてはいないが、都合の悪い情報については隠匿している> と考えた方が自然です

今までの政府の対応をみてきても、都合の悪いことは他所へ責任を押しつけるような発言が多々ありましたが、今回の原発への対応についてもまったく同じということでしょう

特に放射の汚染の問題については、 誰にもわからない のが現実で、わかっているのは、当たり前のことですが、高い濃度で汚染されればされるほど白血病やガンになりやすいということと、大人より子供の方が汚染されやすいということ、あまりに高濃度あれば即死してしまうくらいでしょうか 

放射能汚染問題については、いわゆる専門家の方々もほとんどわかっていないというのが定説で、そのなかでも、内閣官房参与を辞任した小佐古東京大学教授はチェルノブイリの研究で有名な方らしく、その人の発言は重いと考えざるを得ません。その方が20ミリシーベルトは良くないというのですから、これは何となく信憑性がありそうな感じがするのですが、政府は「意見の相違であり、20ミリシーベルトで大丈夫」と言っています

「20ミリシーベルトであっても、直ちに健康被害が生じることはない」そうですが、うがった考えをすれば、10数年後にそこに住んでいた子供達に甲状腺ガンが発生したとしても、放射能との因果関係を認定することはできないと言われるのは目に見えています

これらのことをひっくるめても、今回の政府の言うことは、とても信じることなどできそうになく、結局のところ、放射能についても自己責任で対応するしかないのが現実のようではないでしょうか
外国人は東京や日本から逃げ出してしまったのに、日本人は放射能に鈍感なのかもしれませんが、汚染されている場所でも帰りたいという住人がたくさんいます(もちろん、安心に住めるようにしてもらってからということですが)。まあ、有史以来、土着生活をしていた日本人からすれば、生まれ在所にそのまま住み続けたいと思うのは当たり前のことですが、放射能に対する危機意識の差についての日本人と外国人の差がこれほどあったのには、正直なところ驚かされました

大震災が発生して以来、外国メディアは日本人の冷静さや団結力などに賞賛していました。ところが原発への対応については、嘘を言っているのではないか? とか 政府や東電は本当のことを発表しない などと思われるようになり、政府・保安院・東電の発表をまったく信用していません

http://takedanet.com/2011/04/post_3a50.html

これは、外国メディア向けの原発に対する記者発表光景だそうで、恐ろしいことに誰一人として記者の姿はみえません。これほどまで酷いとは驚かされますが、本当のことを発表しないから聞いても無駄なんだそうで、恐らくフランス政府やアメリカ政府から情報をもらったり、独自で取材しているのでしょう。それに比べれば日本の国民は、政府のいうことをすっかり信じているわけですから、この違いは何なのだろう・・・すら思います

現地に住んでいる人には申し訳ありませんが、放射能問題については自分自信で勉強し、納得の上で行動することが求められるような気がします