大震災と放射能漏れを通じてわかったこと・2

震災関係の対応については、ややスピードが遅いと思っている方がいるのかと思われますが、これだけの大きな被害をもたらした大災害ですので、細かなところにまで手が届かないのはある程度仕方がないと思わざるをえません

何よりも最優先される被災者への対応ではありますが、国や地方自治体の職員もしっかりと対応しているはずで、恐らく、現地の職員などは休日もなく働き詰めといった状況でしょうし、自分の家族が行方不明になっているのにもかかわらず、休み無しで働いている職員がいるとの報道に接しますと、変わってやりたいと思うくらいです

自衛隊や消防職員が命懸けで原発に駆り出されている姿をみると、国民全員が応援してしまうでしょう

それらの最前線で活躍している人に比べものにならないくらい酷いのは、やはり政府と東電でしょう

これからゆっくりと検証されていくでしょうが、ベント開放の遅さをはじめとする原発への対応の遅さと、各種情報の隠蔽や開示の遅さは国内だけでなく世界中から批判されてしまい、国としての信頼すら失われかねない状況にあります

放射能拡散のシミュレーションにしても、膨大な予測をしているのにもかかわらず公表されたのはたった2枚の図面だけですし、時には政府・保安院・東電の発表することが違っていたりと、何が正しい状況なのかすら国民にはまったくわかりません

また、枝野さんでお馴染みになってしまった「直ちに健康被害への影響はない」などの、具体性を欠く不確かな表現ばかりでは、聞いている国民は安心するどころか、ますます不安に駆られるだけで、とてつもない風評被害を生んでしまいました。それは国内だけでなく外国へも与えてしまい、日本製の部品や製品の価値を著しく落としてしまっていることは、すでにご承知のことと思います

放射能についても外部被爆と内部被爆ではまったくその性格は違うのにも、その事についてはまったく触れませんし、何かあると「直ちに・・・ではない」と適当にかわすだけでは、信頼などおけるはずはありません

東電にしてもしかりで、いきなり計画停電を持ち出して関東全域を困惑させてしまったり、避難者に対しても自社施設へ避難させるようにするどころか、避難関係についてはすべて地方自治体まかせなのには驚きました。自分達の施設の事故に起因するものなので、本来なら避難誘導や避難所の確保などにももっと協力すべきだと思うのですが、そのような事を行ったという報道はありませんので、何もしなかったのでしょう。これでは、交通事故で人をはねてしまって、それを目撃していた第3者が消防に通報して救急車を呼んだようなもので、加害者である自分はその間ただ見ていただけとしか思えません

原発を安定させることは大事ではありますが、避難せざるを得ない人を安全に避難させ当面の生活を確保するのも本来ならば東電の仕事ではないでしょうか。あまりの非情さに情けなくなってしまいました

それよりも何よりも、人々に混乱を招いてしまったのが計画停電でしょう。「電気の供給力が足りないから地域を区切って強制的に電気を止めさせてください」という理論ですから、緊急避難的には仕方がないと思われ、皆さん協力したのですが、だんだん日が経つに連れ、マスコミが過去の資料等を調べ発表していくようになると、実は夏でも相当量の電気(5000万kw以上)を供給できるようになると数字を変えていったり、都合の悪い情報はHPから削除したりと、どう考えても隠蔽工作をしているとしか思えない行動です

ネットでも少し話題になりましたが、「それでも原発は低コストで安全」「供給不足を補えるのは原発しかない」「計画停電などを防ぐには原発の再稼働が必要」などと喋るいわゆる 御用学者 さんと揶揄される人がいて、このような時期であってもまだ原発を推進するような動きすらあります

原発は1基作るのにも原子炉本体1基だけで数千億円、一箇所に数基作りますので全体では1兆円を超える投資額になり、立地対策や安全対策費を含めると莫大な額になるのは明らかで、大きな産業の一つと言っても過言ではないでしょう。ですので、原子炉製作メーカーだけでなく大手ゼネコンも絡んでいますし、原発は安全だというマスコミや地元対策もしなければなりませんので、相当大きな額が飛び交うのは当たり前で、関係社(者)であれば、ぜひともモノにしたい案件でしょう

東電の1年間の広告費は220〜230億円だそうで、本来ならば地域独占企業ですから、販促のための公告はそれほど必要とは思えず、マスコミ対策でしかないのかもしれません

民主党政権原発についてはクリーンエネルギーということで大きく推進することを決めていましたし、輸出出来るようにも考えていました。電気事業関係の労働組合民主党ですね。もちろん、自民党政権時代も同じでしたし、この中心は経済産業省にあったことは言うまでもありません

たいしたことではないかもしれませんが、経団連会長も東電の肩を持つような発表をしたりしています

このような状況ですから、政官民一体となって進めてきたのが原発政策であり、恐ろしく巨大な利権が複雑に絡んでいたであろう事は想像に難くありません

このような背景があるからこそ、政治家やマスコミも東電を攻めませんし、恐らく、安全性を高め止まっている原発を再稼働させたいだろうし、計画中のものもそのまま進行させたいという思惑が透けて見えているように思うのですが、まだまだ洗脳する報道は続くだろうと思っています

少なくとも、現在問題中の原発も、当初は 絶対安全 だということで建設したものでしょう。それがこれほどの大災害になってしまったわけですから、その火消しに躍起になっているのが今の現状でしょう

アメリカではスリーマイル原発の事故以来、原発が建設されていません。これは、事故以来相当の安全対策や厳しい防災対策が義務づけられ、その安全対策や防災対策を満たすためには相当の投資が必要になってしまい、多の発電方法に比べれば低コストではなくなったからと言われています

それでも、オバマ政権は原発を推進することを決めていますので、アメリカへの配慮をするためにも引けない政治的事情があるので、「今後、原発政策を白紙に戻す」と言う位がせいぜいといったところでしょう

また、一昨日の報道では、「復興構想会議」に読売新聞の特別編集員と元朝日新聞の論説委員が参加することになったそうです。これでは、政官業どころか政・官・民・報の4者で復興財源のための増税やらを決めるわけで、ただでさえマスコミのチェックが甘いと思っているのに、これでは好きなようにされてしまう体制になってしまいました

これから復興についての議論が始まりますし、少しずつではありますが原発の行く末も議論されるでしょう。そのなかで、だれがどのような発言をするのか、注目してみていきたいものです