幸か不幸か・・・

今回の大地震・大津波原発事故は誰が考えてみても不幸な出来事でしかありません

しかし

この震災(津波)が人々が寝静まった夜中の2時とか3時に起きていたらどうだったでしょうか? 
当日の天候は晴れでしたが、大雪でも降っている最中であればどうだったでしょうか?
春先のまあまあ気温が上がってきた時期でしたが、1月下旬とか2月上旬のような厳寒期であったらどうであったでしょうか?
消波ブロックや防潮堤がなかったらどうであったのだろうか?
現在は恐らく過疎に近い地域ではありますが、昭和30〜40年代のように、現在よりもたくさん人口が住んでいた場合はどうであったでしょうか?


昭和40年代の初め頃の1月後半、大雪が降る夜中の3時にこの大地震とそれに伴う大津波がやってきていれば、被災者は恐ろしい数になっていたことは想像に難くありません。大災害ではありますが最悪とまではいかなかったのかなとも思っています

関東大震災は真っ昼間、阪神大震災は朝方と、いずれも火を使う時間帯でしたので、震災による建物の倒壊とともにたくさんの火災が発生し被害を拡大したと考えられていますが、今回は午後の3時少し前ですので、会社員は勤務中であり、子供達も学校に行っている時間帯でありますので、学校や会社から避難するはずですからそれだけでも被災する方は減っただろうと考えられます

地震がきてからおよそ30分後に津波がきたわけですから、生死を分ける時間は約30分あったことになります。『30分もある』のか『30分しかない』のか、結果的に生死を分ける時間でもあります
この日に偶然旅行とか出張に出かけていたとか、中央の病院で検査のために地元を離れていたとか、用事があり他所へ出かけていたとかで被災を免れた人も少なからずいたことでしょう

また、それとは逆に、当日は体調が悪くて家で寝ていたとか、他所から旅行などでたまたま被災地に来ていたとか、いつもなら畑に出ているのに、この時間にたまたま家で休んでいたとかで運悪く被災されてしまった方も多いと思われます

津波を想定して助かった人と助からなかった人もいれば、運良く被災を免れた人、あるいは運悪く被災してしまった人、恐らくそれぞれの胸に去来するものがたくさんあることは想像されます。このような大震災では一瞬の判断が命を左右することは言うまでもなく、その判断により助かったり命を落としてしまうこともあったりと、究極の判断力が求められる場面です

重要な書類やお金を取りに帰って被災した人であれば、仮に津波がきてもそれが収まったら取りに行こうと思えば良かったのに・・・・・これは結果論ではなく、命を左右する判断ですから、まずは『自分自身の身を守る』という大前提からはずれた行為でしかありませんでした。このようなことを書きますと、死者に鞭を打つのかと思われそうですが、次にこのような大災害に見舞われた時に、どのように対応をすれば犠牲者が少なくなるのかということを真剣に考えての例えだけのことです

「父母の様子を見に行って被災し死亡してしまった」「警察官が避難の誘導をしている最中に被災し死亡してしまった」ような事例を目にしますと、その行為がどうしても美化されがちになってしまいます。では、父母が心配であったけど様子を見に行かなかった人は人でなしになってしまうのでしょうか?・・・警察官や役場職員であれば危険を省みず死地に飛び込まなければならないのでしょうか?・・・決してそのようなことは無いはずで、このような予期せぬ災害の場合に最優先されるのは、あくまでも「自分自信の身は自分で守る」事が一番大事だということを徹底しておくことが、今後起こるであろう災害時に、被災者を少数にとどめるために必要なことであると思うからです

人の為に命を投げ出すのは、ある意味美談ではありますが、仮にその行為のおかげで助かった人がいても、その人はその事を一生背負って生きていかなければなりません。悪いことと否定するわけではありませんが、全ての人が自分自身の身は自分で守る事を実践していれば、被災者を最低限にすることができますので、美談的なことを取り上げるよりも、被災しないようにする為にはどのように判断し行動しなければならないのかということを徹底させることがマスコミや専門家の努めではないかと思っているだけです

「被災→避難生活」というのは大変なこととは思いますが、被災された方も生活が落ち着いたら良いので、当時どのように考えたのか、どのように逃げたのか・・・・・というような自分を守る為の行動について広く知らしめることを希望したいものです

これから東海大地震関東大地震という地震とそれによる巨大災害が想定されています。阪神大震災東北関東大震災の教訓を今後に活かしてもらうには、総合的な防災措置といった物理的なものよりも、個人個人の判断力や行動力というものが、被災者を減少させることができる大きな要因だと思っています。次の災害時には、幸か不幸か助かった・・・ではなく、このように判断しこのように行動したおかげで助かったという言葉が避難者から聞こえるようになれば良いのではないかなと思っています


とかく災害時などではドラマチックなことばかりがクローズアップされますが、 「逃げたおかげで助かった!」 ということを、もっとアピールしてもらいたいものです