3,600,000,000円

0がたくさん並んでいる数字ですが、36億円の事です


サブプライムローン問題により、トヨタが09年3月期の営業利益見通しを前期比7割減に下方修正した「トヨタショック」などにより、急激な雇用調整が始まり、ソニーなどは正規職員8,000人を含む16,000人のリストラ策を打ち出しました

もちろん、この2社だけではなく自動車・電機関連の大手は軒並み大規模なリストラ策を発表し、今年度末(平成21年3月)までに、全国で3万人以上がリストラされるだろうと見込まれていて、大きな社会問題になっています

もちろん。リストラではなく「内定取り消し」なども起きて、【雇用と就業】問題が大きくクローズアップされてきました。この伏線はいろいろとあるのでしょうが、製造業に派遣を許してしまった派遣法の改正(改悪)が一番大きいと思っています。これは構造改革と称して小泉・竹中ラインと経済界が結託して行った事ではないかと思われますが、これにより、自動車・電機産業の大手は、軒並み非正規労働者派遣社員契約社員)の雇用に走り、不況になりそうだからと、あっさりと契約の打ち切りを通告されています(「派遣切り」と言うそうです)

TVや新聞などを見ていると、いきなり解雇されるだけでなく、社員寮からも追い出されたりと、年末の冬の最中に仕事を奪われるだけでなく、住居まで追い出されるのでは、あまりにひどい仕打ちです

企業論理からすれば、減産が加速し費用削減の為には人員削減はやむを得ない措置だと発表していますが、果たして額面通りなのかと少し考えてみました。そこで簡単に算出してみたのが最初の36億円という数字です
この数字は、30万円の給料を貰っている1,000人の人が1年間に受け取る金額で


30万円 × 1,000人 × 12ヶ月 = 36億円です


つまり給料30万円の社員1,000人を1年間雇用すると36億円の経費が掛かるという事になります。とは言いましても、実際は賞与があったり雇用保険・福利厚生費、あるいは社宅を持てばその経費も掛かる事でしょうから、実際の負担はもう少しかかるとは思いますが、40億〜60億円程度という感じではないでしょうか。さすがに100億円までは掛からないでしょう

さて、トヨタショックとまで呼ばれたトヨタの衝撃的な業績見通しですが、その内容はと言うと【営業利益は前期比74%減の6千億円で業績予想を1兆円下回る】という事で、営業利益が74%減という数字は衝撃的ではありますが、それでも営業利益は6千億円もあります。ソニーにしても09年3月期連結決算の営業利益見通しは前期比58%減の2千億円ということです

これら大規模なリストラを強行しようとしている企業の業績が赤字に転落してしまうという事であれば、多少のリストラもやむを得ないと同情することはできるのですが、営業利益が2千億円〜6千億円もあるような世界に誇る日本の一流企業が、わずか数十億円の節減のためにリストラを強行するとは、あまりにむごい仕打ちとしか思えません

もちろん、営業利益があるからと言ってそれがそのまま利益なるのではなく、設備投資や技術開発投資資金とかも必要でしょうから、そこそこの経費が必要だとは思いますが、かなりの金額が内部留保されているのも間違いないでしょう

トヨタ一つとっても、昨年の営業利益は2兆円を超えていましたし、派遣がOKになった16年以降でも軒並み1兆円以上の営業利益を産みだしていたのに派遣社員が果たしていた役割は小さな物では無いと思います。彼らのお陰に寄るところも結構あったはずで、それぞれの企業業績には貢献してきたはずです。それなのに、経費を節減をするからと言って簡単にリストラしてしまうのは、あまりにも非情すぎると思います

これが日本の誇る一流企業かと思うと、あまりにも情けなくなってしまいます。以前、日本の企業には愛が無くなったと書きましたが、今回のリストラ問題を見ていますと、世も末かと思ってしまいます。このようなご時世だからこそ、【うちは営業利益があるからリストラされた人を、次の職がみつかるまでのたとえ半年間でも受け入れましょう】というような所こそ、愛があり社会貢献のできる一流企業と思うのですが、金の亡者ばかりの経営陣では無理のようですね

リストラを強行するような企業商品の不買でもしようかと思っちゃいます(笑)