汚染米

三笠フーズ汚染米問題は、やっと事件の全貌が明らかになってきたようですが、あまりのひどさにあきれかえってしまいます

ここ数年、食品の表示偽装が多発して、企業倫理が大きく問われている最中なのに、このような事件が起きるのですから、あまりに情けない会社ですね。質が悪いのは、過去の食品偽装は「産地偽装」とか「賞味期限の偽装」と言う程度のもので、まあそれくらいなら・・・というような思いはありますけれど、今回の偽装は、農薬やカビに汚染されていて食用には不適である米の偽装ですから、どうしようもないくらい悪質でしょう

また、汚染米の流通ルートも多方面に広がってしまい、すでに食べられてしまったり、焼酎や日本酒に加工されたりと、他業種にも影響を与えてしまい、その損害たるやもの凄い事になってしまいました

特に、汚染米とは知らずに料理や加工につかってしまった業者さんは、別に悪い事をしたわけではない善意の第3者なのに、大きなとばっちりを受けてしまい、なんとも可哀相であります

農水省の検査もおざなりだったようで、三笠フーズだけでなく国にも結構な責任があるようで、事務次官が更迭されてしまいました

三笠フーズなどという悪徳業者がいけないと言えばそれまでなのですが、それ以前の問題として疑問に思えるのは、「輸入した米が汚染米とわかった時点で、なぜ返却する事ができなかったのか?」と言う事です。米の輸入については国が一元管理していて、国が輸入したり、輸入業者が輸入したものも国が買い上げる事になっていて、それから売り出される仕組みになっているからです

今回の米は、国が輸入したものか民間で輸入したものかわかりませんが、国(農水省)の検査において残留農薬が検出されたり、毒要素を持つカビが生えているものが確認できた時点で、本来なら返却するのが自然と思うのですが、そうはせずに他用途(食用以外)に利用するという事で売り出されてしまったのです
中国産米ですから、買い付け価格は数十円(80円前後くらいでしょうか)で、関税が350円前後ですから実質は430円くらいの米になるのですが、他用途米ですから、入札価格は3〜11円程度と言う事になり、キロ当たり70円以上も損して国は売っているわけです。恐らく、検査や保管、あるいは輸送にも相当のお金がかかるはずですから、実質の損害はもっとあるはずでしょう

いわゆる事故米については、どれくらいあるのか実態はわかりませんが、三笠フーズが買い付けただけでも2500トン以上あるという事ですから、それだけでも2億円以上損をしている計算になってしまいます。もちろん、実際はこの数倍から数十倍はあるはずですから、わざわざ米を輸入して損をしているという、とんちんかんな対応をしているという事になり、何とお馬鹿なのでしょうか

ちなみに、米の輸入はガットウルグアイラウンドでミニマムアクセスという最低輸入機会が決められており、その中で米は輸入を義務づけれられているわけではないのに、国が勝手に輸入しているものなのです。国内では米の転作を奨励し、米生産を厳しく統制しているのにもかかわらず、他国から米を買っているわけですから、政策の一貫性など感じる事もできず、何とも不思議な事をやっている国です

このような農政をやっているから、食糧自給率が40%を割ってしまうのでしょうね