「道路対生活」の行方

与党は暫定税率を維持するためにブリッジ法案を提出して混迷を深めてきました

暫定税率については、昨年からさまざまな議論がされてきましたが、その間、いろいろな事が明らかになってきて、暫定税率が廃止されれば、ガソリンなどの価格は25円安くなるかわりに、税収が2兆7千億円ほど減ってしまい、道路の整備が遅れてしまう・・・・・生活も大事だが、地方には道路整備も必要なので、暫定税率を維持すべきではないか・・・・・などと地方からの要望も高く、東京都知事東国原知事ら首長が頻繁に訴えていたのが印象的でした

暫定税率については、すでに何回も延長されてきたと思うのですが、その時は、それほどの議論もされなかったし、国民の関心もほとんど無かったように記憶しているのですが、今回は石油の高騰と重なったため、まさに「道路対生活」というような縮図になっています

莫大なお金を掛けて東京湾にトンネルを掘ったり、四国に3つも橋を架けたり、時には「車よりもキツネやタヌキの通行量の方が多い道路」などと揶揄されるような道路を造り続けてきたのは、この暫定税率があったからなのは言うまでもありません。もちろん、その道路の赤字補填や維持管理費も同じ財源から出されているのでしょう

「これからは無駄な道路は造りませんので、あと10年間だけ造らせてください」・・・・・と、与党は言っているようですが、到底信頼することなどできません(笑)

道路特定財源がなくなりますと、本県では34億円ほどの減収になるそうで、その分道路整備が遅れてしまうからということで、もちろん本県の首長さんも暫定税率の維持には賛成しています

そもそも、本当に必要な道路であれば、絶対に造る事は必要なのですが、このあたりの線引きが難しいので簡単にはいきません。例えばAという町とBという町があり、両町を結ぶ道路は現状で45分かかるが、整備する事により25分に短縮することができるとしますと、AB両町に住む人は便利になったと実感する事はできるでしょうし、両町住人には必要な道路かもしれませんが、ほとんどの人には無用な道路と映るかもしれません。「必要な道路」などは地域エゴで決まるのがほとんどではないかと思ってしまいます。また、この両町を結ぶ道路にしても、AB両町間を通勤に利用している人への恩恵は非常に高いのは言うまでもありませんが、年に数回しかこの道路を利用しない人にとっては、同じ住民でありながらも受ける恩恵はだいぶ違ったものになる事と思います

僕は運転免許を取得し自動車に乗るようになってから30年経ちます。本県内においても、道路が整備された事によって、移動経路が短縮されたり、移動時間が短縮されたりするようになり、それなりの恩恵を受け道路の利便性を実感しているのですが、その反面、このような場所に、こんな立派な道路が必要なのか・・・と思う道路も結構あります。しかし、全ての道路は必要性があるから造られてきた・・・というのも確かで、アクアラインや本四架橋と同じです(笑)。アクアラインなどは、近くに行った際のぞいてみたりしているのですが、閑古鳥が鳴いているのではというひどい有様で、通行料をあれほど下げたのに通行量は減るばかりで、有名な海ほたるでさえもガラガラです。これでは、地域経済への影響なども皆無と言われても仕方がありません

まあ、アクアラインなどはその典型的な道路かもしれませんが、どの地方に行っても、過剰投資ではと疑われるような道路はたくさんあり、それもこれも「必要な道路」の定義が曖昧なのが、最大の原因ではないでしょうか。

与党は、高速道路の整備についても、道路公団民営化騒動の時に9000数百キロと決まった整備計画を、知らない間に14000kmに戻してしまっていますし、どんな手を使っても道路を造りたい・作り続けたいという魂胆が見え見えです(笑)

これでは、道路利権と結びついていると呼ばれても仕方がありません

そろそろ本当に必要な道路の基準を議論し、できれば優先順位をつけながら計画的に道路整備を進める事が必要ではないかとも思います。そのためには、道路特定財源の見直しも必要になりますので、暫定税率についてもここで一回チャラにして、道路整備のあり方から議論してもらいたいと考えています

ということで、個人的には暫定税率については廃止して欲しいのですが、急転直下、知らない間に与野党合意をしてしまい、暫定税率が継続されるようになってしまいました。あれだけ騒いでいたものが、こうも簡単に合意してしまうとは、茶番劇を見ているみたいですね