もっと愛を!

素晴らしい表題ですねぇ。これで、「フェロモン」「セレブ」「出会い系」「人妻」などと続けば、アクセスアップは間違いなしです(笑)

今日は、ここのところ急速に広がっている格差社会の問題についてです。今現在、格差社会が広がっているとは言われても、格差を感じていない人にとっては、何の実感も湧かない問題ですが、格差は確実に広がっていることは間違いなく、普通の社会人として会社に勤めながら年収200〜300万円台という人が急増していて、ニートネットカフェ難民よりも、こちらの方が大きな問題ではないかと考えています。先日もNHKで放映された派遣会社の実態・・・」というような番組を見ていましたら、その問題をより一層痛感したところです

この番組では、派遣会社が酷いところは四重も五重も手数料を搾取しているようなケースが増えていて、派遣を依頼した企業が日給19,400円支払っているのに、派遣された会社員は日給で9,000円しか貰えておらず、実に半分以上が派遣会社に手数料として取られている事になります

問題はそれだけでなく、厚生年金などにも及び、本来なら派遣会社が派遣社員の厚生年金を支払わなければならないのです(派遣社員は派遣会社の従業員だからです)が、収益を少しでもあげるため、厚生年金にも加入させて貰えず、仕方がなく自費で国民年金を支払っているような実態も明らかにされました

TVに写っていた派遣社員さんは、『正規社員と同等に働いているのに、いくらなんでも、この差はひどく、家族を養う事さえも厳しい状況です』と怒りを露わにしていました。まさか、これほどまでとは思ってもいなかったので、ちょっと唖然としてしまいました

昨日は労働に関する何かの報告がでたのですが、その時の数字では、4000数百万人が労働者として働いていて、そのうち20%強が年収200万円以下だという統計が発表されていました。また、1人あたりの年間平均所得についても、昨年に比べ9万円の減少ということで、企業の収益が向上しても、それが労働者の給与に反映されていない実態が浮き彫りになった・・・・というような報道がなされていました(ちょっとうろ覚えなので、正確さに欠けるかもしれません)

『企業の収益性が向上されていて、かなりの利益を上げているのにもかかわらず、その収益が労働者に配分されていない』・・・と、少し前から指摘をされているのですが、あいかわらずこの状態が改善される事はありません

企業自体の収益は向上しているのですが、ほとんどの企業が内部留保してしまっているのが、今の現状で、労働者に還元するのでなく、内部留保しておき、敵対的買収に備えたり、もっとお金のある企業では、逆に買収資金の原資とするなどしています。もちろん、株主配当も、昔から比べると増加したこともあり、なかなか労働者に還元されることはありません

これは、株式会社という概念の変化によるものが一番大きく、日本の会社は少し前までは、『企業は人なり』という事で従業員を非常に大事にしてきた歴史があり、終身雇用制なんかも、人を大事にするという姿勢から出てきたものと推測しています。終身雇用は無くなった・・・と言われて少し経つのですが、終身雇用が無くなったのではなく、企業に愛が無くなったのではないかとも思っています

バブル崩壊後、多くの企業は売り上げ減や収益の悪化に悩まされたのですが、それを不採算部門の切り捨てや、不要な動産(不動産)の処分、リストラなどで、その不況をなんとかしのいだ様に見えたのですが、その後に続いた構造改革などの影響や、マネーゲームに奔走していた人達などから、「株式会社は、社員のものではなく株主のものである」などとアメリカナイズされた、思想を植え付けられてしまったり、「首を切りやすいように、正社員ではなく派遣社員を増やす」構造改革に進んでしまい、かつて、日本の企業が持っていた美徳とも思える『社員への愛情とか思いやり』などは、その欠片も無くなってしまったのが、今の姿ではないでしょうか

僕が就職して少し経った頃の事ですが、任天堂という会社があり、何かのゲーム機を発売したのが大当たりをして莫大な利益を上げていた時がありまして、任天堂に入社した手の高卒女性のボーナスが数100万円というような新聞記事を読んだ事があります。だいぶ前の事ですので、数字的な記憶はあまり定かではありませんが、任天堂の社長は、「儲けたところで、どうせ税金に持っていかれてしまうのだから、ある程度は従業員に還元したい」という方針で、月給数万円の高卒の女子社員でさえ、年間数百万円も貰えるという、今では考えられない状況がありました。もちろん、僕の年収よりも、この女性の方がはるかに高かったと記憶しています

いやぁ〜大盤振る舞いの会社があるもんだ・・・とも思っていたのですが、当時は、ある程度収益が上がっていた企業については、それを社員に還元するのは当たり前の事で、このことは、給与面だけでなく福利厚生面でも同じで、社員に対する福利厚生も手厚く、企業が社員を大事にしていた事が普通でした

ご承知のとおり、現在では、ほとんどの企業が福利厚生などに力を入れておらず、派遣社員も有していて、20〜30%程度が派遣社員といういわゆる「非正規雇用」となっています。また、そればかりではなく、個人の成績主義も導入されるようになってしまい、賃金も成果成績主義を導入される事となり、同じ労働者でありながらも、大きな格差を生むようになってしまいました

これらの事も、時代の流れで仕方がない事と思えばそうかもしれませんが、なんとなく、一部の非正規社員(労働者)だけが、非常に不利益を被っているように思えてしまいます

少し前に発表された、企業のトップの収入が書かれている長者番付(?)みたいなものでは、あのトヨタの社長でさえ、年収は数千万なのに、数億円もらっている企業のトップもたくさんいました。まあ、個人企業ならともかく、世間で認知された企業であれば、もう少し社員に還元したらどうよ・・・・・と、浅ましく思ってしまうのは僕だけでしょうか(笑)
まあ、社長さんの給料など、それほど体制に影響がないので、別段かまわないのですが、やはり、不利益を被っている非正規雇用社員がこのまま放置されてしまうというのには、ちょっと問題を感じてしまいます

社員の給料を下げて株主配当を増やすような会社すらあると聞きますが、それでは、ちょっと???とも思えます。確かに『会社への忠誠心』などという事も、だんだん薄らいできてしまっていますが、収益偏重主義・個人成績偏重主義の企業になってしまいますと、いきおいさまざまな問題を引き起こす恐れもあり、○○偽装なんてのも、その延長にでてきた問題ではないでしょうか

「株主に配当を!」ではなく、これからは「社員に愛を!」「消費者に愛を!」というような企業に戻ってもらいたいと心から思っています

凶悪犯罪が増え、人が殺されるくらいは日常茶飯事のような世の中になってしまいました。精神障害者は増加の一方で、自殺者も3万人という高水準で推移するなど、本当にギスギスした世の中になってしまいました。複合的な理由はあるとは思うのですが、企業に愛が無くなってしまった事が、多くの労働者を苦しめている大きな原因の一つであることは間違いなく、経営者が少しでも気がついてくれれば良いとは思うのですが、まず無理でしょうね・・・・・