あぁ無惨・・・

山梨には、数町村が合併し北杜市という市ができました。そこには旧武川村という小さな村があったのですが、この村は、なかなか凄いところで、天然記念物の樹木が2本もありました。市町村単位で国指定の天然記念物の樹木が2本もあるなど、恐らく、全国でこの村だけでした

1本は、有名な神代桜という桜で、根回りが13.5mもあり日本一のエドヒガンの古木であり、日本3大桜の一つとしても知られていて、花の時期になりますと全国から観光客が訪れます。大正11年には、国指定天然記念物の第一号に指定されたほどで、なかなか見事な桜です

この有名な神代桜から、車を5分ほど走らせますと、もう1本の天然記念物である【舞鶴の松】というのがあります。この松は、樹齢約450年で、赤松の名木として全国的にも知られていて、樹高は9m、根元の周囲4mくらいと、それほどの古木・巨木というわけではありませんが、鶴が翼を広げた姿に良く似ていて、古くて美しい姿をしている名木です

昭和9年1月には、国指定天然記念物に指定され、平成元年12月には、神代桜と同様に全国の新日本名木百選にも選定されたほどです

その国民的な資産とも言える名木なのですが、今年の春には、「松食い虫の被害にあった様子」というような報道がされました。すぐに樹木医による診断等がなされたようですが、これは枯れる可能性が高いなあと思い、生きているうちに最後の姿を見ておこうと、5月に様子を見に行ってきました。その時の様子は、100%枯れるだろうと確信するほどの衰弱ぶりでした

それから4月ほど経過し、先週に再びこの地を訪れましたところ、案の定、生きていた時の美しい姿をそのままに枯死していました。こうなることは想像していたのですが、実際に枯れてしまったその姿を見ますと、やはり無惨だなぁ・・・と思わざるを得ません


450年とも言われている齢を重ねてきて、これまでその美しい姿で、数多くの人を楽しませてきたのに、その歴史を考えますと、なんともやるせない思いがします。このような古木や巨木になりますと、普通は、台風・大風・落雷・大雪などの自然災害により幹や枝が折れたり枯れたりする被害は、しばしばあるのですが、たとえ多少の被害にあっても、樹勢さえ確保できていれば、そこから再び回復していって枯死に至ることは、まず無いのですが、松食い虫による被害では、どうすることもできず、結局、枯死してしまいました

数年前の秋には、松ぼっくりでも拾ってきて、その子孫でも増やそうかなと思ったのですが、まさか、このような事態になるとは夢にも思っていませんでしたので、その時には、拾ってくることをしなかったのですが、今になると、非常に悔やまれますねぇ

今回訪問した際も、木の下に実生苗でもないかなと目を皿のようにして探したのですが、残念ながら見つかりませんでした(笑)。【思い立ったが吉日】という諺があります。今までも何回となく、このような後悔をした事があるのですが、今回も、同じ轍を踏んでしまいました(笑)。やはり、こうと決めて実行できるチャンスがあったら確実に実行しなければいけませんね。今回も嫌と言うほど痛感しました