ドングリの結果習性
クマの異常出没が続いたせいなのか熊○協会さんというところが、ここ数年話題にのぼっています。熊を保護するためにいろいろな活動を行っているようですが、そのなかでも、面白いのがドングリ撒きという活動で、賛否両論があるようです
この行為を実施するのは、餌が不足しているからドングリを撒くのだと主張しています・・・・・理屈にあっているように思われますが、とりあえず、なぜドングリの実なりに豊凶があるのか、少し考えてみたいと思います
堅果類をはじめとして果実が結実するためには、その結果習性を知る必要があり、その結果(結実)が自然界に対してどのような影響を与えているのかを知らなければなりません
栽培している果樹などは、結実を促すために剪定をしたりして調節を図りますが、自然界のものでは、そのようなことを行うことはなく、あくまで自然任せという感じになります
樹種によっては隔年結果と呼ばれるように、豊作年と不作年を繰り返すものがあります。これは樹が疲れてしまったことや、成らせすぎによる高糖化対策の反発として、翌年の結実を控えるという習性を樹木が持っているからと言われています。特に、柿などの果樹ではこれが顕著に現れることが知られています。これについては、農家は毎年の豊作を望むため木に負担が掛かるような作り方(たくさん成らす)をするためですから、自然の摂理というよりも人工的な影響なのかもしれません
自然界の樹木においては、そのように人工的な作為を施されることはありませんので、通常であれば、例年同じように結実するというのが当たり前です。しかし、毎年同じような天候である保証はまったくなく、時に天候の異変などがあったりしますと、果実の結実に豊凶をもたらす場合があります
自然の果実の豊凶に影響を与えている原因としては、1.開花受粉期の天候不順・2.結実期の天候不順・3.病害虫による影響などが主な要素だと考えられます
まず、1についてですが、受粉期については、この時に受粉ができなければ果実は結実することができませんので、一番重要な時期でもあります。長雨などにより花粉の飛散が悪いようなことがあったり、開花時あるいは受粉時に霜があたって、花が枯死してしまうような場合、結実量が相当減ります
以前にも書いたことがありますが、この時期の天候に注意してさえいれば、秋の豊凶がわかってしまうくらい重要なことです。今年はコナラやミズナラが地域によっては豊作であったり不作であったりと言われているようですが、不作といわれている地域は、恐らく、天候不順か遅霜の影響があったのではないかと考えられます
次ぎに、2の結実期の影響についてです。無事受粉が完了したからといっても、それが果実になるまでには、水分と養分が必要になってきます。養分については、普通に根から吸収されますので、特に問題はないと思いますが、影響を与えると思われるのは水分です。將か類では顕著でありますが、果実が発育するためには水分をかなり必要とします。しかし、いわゆる空梅雨などのように、例年よりも降水量が異常に低いような時は、木が必要な水分量を吸収することができず、せっかく結実した実を自ら落果させてしまいます
そのため、降水量の多寡についても結実に影響を与える場合が希にあります
最後は、3の病害虫による影響ですが、これは書くほどのことではありませんので省略します
ドングリなどの堅果類についても同様ですが、大事なことは結果習性を知ることでなく、その結果習性がもたらす野生動物への影響で、豊作年では餌が豊富ですから良い影響があり、不作年では餌が不足する可能性があり悪い影響を与えるのは当たり前のことです。しかし、注意しなければならないのは、ここで言うところの良い悪いというのは、あくまでも人間が勝手に判断しているだけのもので、それが本当に良いのか悪いのかについては、別にあるのではないのかと思っているからです
ドングリの実なりに豊凶があるというのは、台風などの自然災害と同じように自然にプログラムされていることで、ドングリにある程度依存しているであろうシカ・イノシシ・ネズミ・昆虫類の個体数調節作用が働いていると推測できますので、凶作になったからといって他の地域からドングリを運んで給餌していたのでは、個体数の調節作用が働かなくなってしまいます
自然界における果実類の豊凶というのは、自然災害・病害虫などと同じように、元来自然界が持っている調節作用だと思っていますので、それに逆らうような行為は、あまり良いものではないと考えています
もちろん、他地域のわけのわからないドングリを撒くという行為は、生態系や遺伝子資源への悪影響、他の動物への悪影響もありますが、それ以上に自然の持つ調節作用を無駄にしてしまうことに他なりませんが、県内にもたくさん撒かれているのでしょうね(笑)