国家像はどうなっているのか?

衆議院選挙までまだまだ時間はありますが、最近の報道番組は、押し並べたように各党のマニフェストについて盛んに報道されています

まあ、僕が選挙権を得た頃は、衆議院選挙は利益誘導型がメインでしたので、それから比べれば隔世の感はありますが、いつからマニフェスト選挙になってしまったのでしょうか

マニュフェストの優劣で競うのであれば、立候補者の人物などはまったく関係ないわけで、世襲だろうが何だろうがまったく関係ないのに、ほとんどの人は世襲は良くないとも思っているはずです。マニュフェストだけで政権選択するのであればイギリス型の議会政治や選挙になるべきで、人物本位のアメリカ型議会政治や選挙を行うのとは違ってくるはずです。でも、両方の良いとこ取りをするのが日本の選挙や政治という感じですね

つまり、マニュフェストにより政策を選びつつも、投票行為においては人物も勘案するという感じでしょうか。これは極端に走らない日本人らしい選択でもあると言えるでしょうし、なかなか良い選択肢ではないかとも考えています

最近、前回の総選挙における自民党マニフェストを検証するような試みがあちこちでされていて、達成度は何%であったかなどと評価されていたりします。民主党マニフェストは国民との契約だから政権を取ったら達成度については順次公表(公開)していくと言い、マニュフェストに重きをおいている事が伺えます

もちろん、他党も同じようにマニュフェストを公開し、選挙で支持されればこのような事をやっていきます・・・・という感じになってきて、昔の選挙公約というのが、いまでは横文字のマニフェスト政権公約)に変わりましたが、選挙公約といマニフェスト政権公約)ととでは何が違うのか、さっぱりわかりません(笑)

それでも、前回選挙におけるマニフェストの達成度が評価されたり、投票時にはマニフェストと人物の両評価で投票を行うようになった事は、少しずつでも民度が高くなってきている証拠だとも言えるでしょう。30年程前であれば地縁血縁・利益誘導などが投票における選択基準だった事を考えれば、かなり進歩しているのではないでしょうか

それにしても気になるのは、マニフェスト選挙が進む事により、個別政策の違いははっきりするようにはなってきましたが、個別マニフェストを実行する事により、どのような国造りをしたいのかと言う国家像みたいなのが見えてこなかったり、語られる事が少なくなってきたように思えます

普通は、「日本を○○な国にしたい」というビジョンがあって、そのような国造りをするための政策としてマニュフェスト(個別政策)があるのではないかと思うのですが、マニュフェストだけがあまりに先行してしまい、国家像というのがあまり見えてこないのが、ちょっと残念でもあります

今日本人が心配しているのは、景気対策とともに年金などを含めた社会福祉制度です。景気対策はともかくとして、例えば社会福祉制度を北欧並に充実させ、老人になったら医療費は無料で、年金も働いている時の70%は保証するような、「老後も安心して生活できる国」を目指す・・・・というような国家像を示し、そのための政策として「消費税増税所得税増税等を行います」というのがマニフェストになってくるのではと思うのですが、現在はマニフェスト先行型になっていて、その後の将来像が見えにくい感じです。各党とも「少子化対策」「景気対策」「雇用問題」「年金福祉問題」などの政策課題にさまざまな政策案を示してはいますが、これらは政策課題についての対応策だけでしかなく、見えてくる国家像は薄い感じですね

近年では、安部晋三首相が「日本を美しい国」にしていきたいと言いました。評判はあまり良くありませんでしたが、それでも何となく国家像を頭に思い浮かべる事はできます。また、安部さんは国家像は示したものの美しい国にするためのどのような方策を行うか示さなかったので、ほとんど理解されずに終わってしまったように思えます

いずれにしても、国際情勢や社会経済情勢の変動が激しく、また国内においても少子化や年金医療などの社会福祉問題が不透明で心配されているため、今後、日本がどのような国になっていくのか、そろそろ示さなければならない時期に来ているのではないかと思います